STAGE 6シュレーディンガー方程式
井戸の中の電子を解く
🎯 ミッション
波動関数の従う運動方程式を知り、井戸型ポテンシャルの電子を解いて「エネルギーの量子化」を自分の手で導こう。
未達成

うさ美
ニュートン力学では、力が分かれば F=ma で物体の運動がすべて予言できました。量子力学の ψ にも、そういう「大黒柱の方程式」があるんですか?

ねこ博士
あるよ。それが1926年にシュレーディンガーが書き下した、シュレーディンガー方程式だ。ψ が時間とともにどう変化するかを決める、量子力学の運動方程式だよ。ニュートン力学の F=ma の席に、量子力学ではこの方程式が座っているんだ。
シュレーディンガー方程式(時間発展): iℏ ∂ψ/∂t = Ĥψ
エネルギーが決まった状態(定常状態)では: Ĥψ = Eψ
Ĥ(ハミルトニアン)= 運動エネルギー + 位置エネルギー を表す演算子。i は虚数単位、ℏ=h/2π

うさ美
虚数単位の i が、物理の基本方程式に堂々と入っているんですね。ψ が複素数だという話は、飾りではなかったんだ……。

ねこ博士
いいところに気づいたね。さて、方程式は使ってこそ分かる。一番シンプルな問題を実際に解いてみよう。幅 L の「井戸」に閉じ込められた電子だ。井戸の中は自由に動けるけれど、壁は無限に高くて絶対に外へ出られない、という設定だよ。

うさ美
壁の外には絶対にいられないから、壁の位置では ψ=0。つまり「両端が固定された弦」と同じ境界条件ですね。それなら井戸の幅に、半波長の整数個がぴったり収まる波しか残れません。

ねこ博士
完璧だ。許される波長は λ=2L/n(n=1, 2, 3, …)。あとは p=h/λ とエネルギー E=p²/2m に代入してごらん。エネルギーの式が自然に出てくるよ。
境界条件: 両端で ψ=0 → λ = 2L/n(n=1, 2, 3, …)
p = h/λ = nh/2L
En = p²/2m = n²h² / 8mL² (n² に比例して飛び飛び!)
両端で ψ=0 になれる定常波だけが生き残る。エネルギーは E₁ の 1倍・4倍・9倍…(n²倍)と飛び飛びになる

うさ美
エネルギーが飛び飛びになることを、仮定ではなく境界条件から導けた……! それに n=1 でも E₁ はゼロではないんですね。閉じ込められた電子は、完全には静止できない。

ねこ博士
それは前のステージの不確定性原理そのものだね。幅 L に閉じ込めた以上、運動量はゼロにはできない。この最低限のエネルギーを「零点エネルギー」と呼ぶんだ。原子や分子のエネルギーが飛び飛びなのも、根っこはこの井戸と同じ。方程式と境界条件が、世界の「デジタルさ」を生んでいるんだよ。
確認クイズ
Q1. シュレーディンガー方程式の役割として正しいのは?
正解! ニュートン力学の F=ma に当たる大黒柱。ψ の変化はこの方程式で完全に決まっていて、確率が顔を出すのは観測のときなんだ。
Q2. 井戸の中の電子のエネルギーが飛び飛びになる理由は?
正解! 両端固定の弦と同じで、λ=2L/n の波しか立てない。波長が飛び飛びなら、p=h/λ を通じてエネルギーも飛び飛びになるんだ。
Q3. 幅 L の井戸のエネルギー準位 En は、n にどう依存する?
正解! En=n²h²/8mL²。準位の間隔は上に行くほど広がる。λ=2L/n と p=h/λ、E=p²/2m をつなぐだけで導けるのが気持ちいいところだね。
Q4. 最低状態(n=1)でもエネルギーがゼロにならないのはなぜ?
正解! Δx が有限なら Δp はゼロにできない。この最低限の運動エネルギーが零点エネルギー。量子の世界に「完全な静止」は無いんだ。