STAGE 3電子も波だった
ド・ブロイの物質波
🎯 ミッション
物質波の波長 λ=h/mv を手に入れて、原子の中の電子軌道が「飛び飛び」になる理由を説明できるようになろう。
未達成

ねこ博士
波だと思っていた光には、粒の顔があった。1924年、フランスの若き物理学者ド・ブロイは、大胆な逆転の発想をしたんだ。「それなら、粒だと思っている電子にも、波の顔があるのでは?」とね。

うさ美
対称性からの類推ですね。光で成り立つなら物質でも、と。それで、電子の波長はどう決まるんですか?

ねこ博士
運動量 p=mv を使って λ=h/p。ここでもプランク定数 h が顔を出すよ。この波を「物質波(ド・ブロイ波)」と呼ぶんだ。
物質波の波長: λ = h ÷ p = h ÷ (mv)
m:質量 v:速さ p=mv:運動量 h:プランク定数

うさ美
でも、それが本当なら確かめられますよね。電子のビームを二重スリットに通せば、STAGE1の光と同じように干渉縞が出るはずです。

ねこ博士
まさにその実験が行われて、電子は見事に干渉縞を作ったんだ。しかも電子を1個ずつ発射しても、点がたまると縞が現れる。光とまったく同じ「二つの顔」を、質量を持つ電子も見せたんだよ。

ねこ博士
そしてこの物質波は、当時の大問題をひとつ解決した。「原子の中の電子の軌道は、なぜ決まった大きさしか許されないのか?」という謎だよ。

うさ美
ボーアの原子模型ですね。電子が特定の軌道にしかいられない理由は、確かに模型のままでは「そういう決まり」でしかありませんでした。

ねこ博士
電子を「軌道を一周する波」だと考えてごらん。円周がちょうど波長の整数倍(2πr=nλ)になっていれば、波は一周してぴったり自分と重なって、安定した定常波になれる。半端な軌道では波が自分自身とずれて打ち消し合ってしまう。だから軌道は飛び飛びになるんだ。
軌道の円周 2πr が波長 λ のちょうど整数倍(2πr=nλ)のとき、電子の波は一周して自分と重なり、定常波として安定する

うさ美
「そういう決まり」だった飛び飛びの軌道が、弦の振動と同じ定常波の条件に変わるなんて。……ちなみに、私たち自身にも波長はあるんですか?

ねこ博士
あるよ。ただ λ=h/mv の h が10⁻³⁴という途方もなく小さい数だから、歩くうさ美の波長は10⁻³⁵ m ほど。原子1個の1兆分の1のさらに1兆分の1以下で、絶対に観測できない。波の顔が見えるのは、電子のように m が極端に小さい世界だけなんだね。
確認クイズ
Q1. 質量 m、速さ v で動く粒子の物質波の波長 λ は?
正解! 波長は運動量 p=mv に反比例する。速く・重いものほど波長は短くなって、波の性質が見えなくなっていくんだ。
Q2. 電子のビームを二重スリットに通すと、スクリーンには何が現れる?
正解! 実際の実験で電子の干渉縞が確認され、物質波は仮説から事実になった。1個ずつ発射しても点がたまれば縞になる、というところまで光と同じなんだ。
Q3. 原子の中の電子の軌道が「飛び飛び」の大きさしか許されない理由は?
正解! 2πr=nλ を満たす軌道だけで電子の波は一周後に自分とぴったり重なれる。ギターの弦に決まった音(振動)しか立たないのと同じ理屈だね。